記帳代行の費用は、依頼内容や企業規模によって大きく異なります。適正なコストでサービスを利用するには、料金の決まり方や相場を把握し、自社に合ったプランを選ぶことが重要です。
本記事では、記帳代行の料金体系や相場、企業規模別の費用の違い、依頼時の注意点を解説します。コストを抑えつつ業務を効率化したい方は、ぜひ参考にしてください。

記帳代行の費用はどのように決まるのか
記帳代行の費用は、業務の依頼範囲や仕訳件数、利用頻度などによって変動します。コストを適切に抑えるために、どのような要素が料金に影響するのかを理解しておきましょう。

料金体系(定額制・従量課金制の違い)
記帳代行の料金プランには、月額の定額制と仕訳件数ごとの従量課金制の2種類があります。
- 定額制:毎月一定の料金で記帳業務を依頼できるため、コスト管理がしやすい
- 従量課金制:仕訳数に応じた費用が発生し、取引量が増減する事業者向け
仕訳数が安定している場合は定額制、取引量が変動する場合は従量課金制を選ぶとコストを抑えやすくなります。
仕訳数・依頼頻度(月次・年次)の影響
記帳代行の費用は、仕訳件数が増えるほど高くなる傾向があります。また、月次で依頼するか、年次でまとめて依頼するかによっても料金が変わります。
仕訳数 | 月次契約(目安) | 年次契約(目安) |
50件以下 | 5,000円~15,000円 | 50,000円~100,000円 |
100件前後 | 10,000円~25,000円 | 100,000円~200,000円 |
300件以上 | 30,000円~50,000円 | 250,000円~400,000円 |
仕訳件数が少ない場合は年次契約で一括依頼するとコストを抑えられますが、リアルタイムでの財務状況を把握しづらくなる点に注意が必要です。
記帳代行の料金相場【企業規模別】
記帳代行の費用は、企業の規模や取引量によって異なります。ここでは、個人事業主・小規模法人・中規模法人に分けて、料金相場の目安を解説します。
個人事業主向けの料金相場
個人事業主は仕訳件数が比較的少なく、コストを抑えやすいのが特徴です。記帳代行を活用することで、確定申告の際に必要な帳簿をスムーズに整えることができます。
仕訳数 | 月額料金 | 年額契約の場合 |
50件以下 | 5,000円~10,000円 | 50,000円~100,000円 |
100件前後 | 10,000円~20,000円 | 100,000円~180,000円 |
クラウド会計ソフトを活用すると、記帳代行業者との連携がスムーズになり、料金も抑えやすくなります。
小規模法人向けの料金相場
法人の場合、取引件数が増え、記帳代行にかかるコストも高くなる傾向があります。特に、請求書や領収書の処理量が多い企業は、月次契約が一般的です。
仕訳数 | 月額料金 | 年額契約の場合 |
100件以下 | 10,000円~25,000円 | 100,000円~250,000円 |
200件前後 | 20,000円~40,000円 | 200,000円~400,000円 |
税理士事務所と契約する場合、記帳代行の料金が高くなることがあるため、コスト面で比較検討が必要です。
中規模法人向けの料金相場
従業員数が増えると、取引量や経費精算の件数が増え、記帳業務の負担も大きくなります。このため、記帳代行と経理代行を組み合わせる企業も多くなります。
仕訳数 | 月額料金 | 年額契約の場合 |
300件以上 | 30,000円~50,000円 | 300,000円~600,000円 |
500件以上 | 50,000円~100,000円 | 500,000円~1,000,000円 |
取引が多い企業は、記帳代行業者とクラウド会計を活用し、効率的に業務を進めることが重要です。
記帳代行のサービス内容と費用の違い
記帳代行には「丸投げ型」と「一部代行型」があり、業務範囲によって費用が変わります。また、税理士事務所・会計事務所と記帳代行業者では料金設定やサポート範囲が異なるため、それぞれの特徴を理解し、自社に適したサービスを選ぶことが重要です。
丸投げ型 vs 一部代行型の費用比較
項目 | 丸投げ型 | 一部代行型 |
記帳業務 | ○(すべて対応) | ○(指定業務のみ) |
領収書・請求書の整理 | ○ | ✕(自社で整理が必要) |
料金相場(月額) | 30,000円~100,000円 | 5,000円~30,000円 |
メリット | 手間を最小限に抑えられる | コストを抑えやすい |
デメリット | 料金が高くなりがち | 自社での作業が発生する |
手間を完全に省きたいなら「丸投げ型」、コストを抑えたいなら「一部代行型」がおすすめです。
税理士事務所・会計事務所と記帳代行業者の違い
記帳代行は、税理士事務所・会計事務所に依頼する方法と、専門の記帳代行業者を利用する方法があります。
項目 | 税理士・会計事務所 | 記帳代行業者 |
記帳代行 | ○ | ○ |
税務申告サポート | ○ | ✕ |
コスト | 20,000円~50,000円 | 5,000円~30,000円 |
メリット | 税務相談もできる | 低コストで依頼可能 |
デメリット | 料金が高め | 税務申告は別途対応が必要 |
税務相談を必要とする場合は税理士事務所、それ以外ならコストを抑えられる記帳代行業者が適しています。

記帳代行を依頼する際の注意点
記帳代行を活用することで業務負担を大幅に削減できますが、事前に注意すべきポイントを把握しておかないと、予想外のコストが発生したり、業務がスムーズに進まない場合があります。契約前にしっかり確認しましょう。
追加費用が発生しやすいケース
記帳代行の基本料金には、すべての業務が含まれているとは限りません。次のようなケースでは追加費用が発生することがあるため、事前に契約内容を確認しましょう。
- 仕訳件数の上限を超えた場合 → 1件ごとに追加料金が発生
- 領収書や請求書の整理が必要な場合 → 1枚あたり数百円の追加費用がかかることも
- 決算対応や税理士との連携を依頼する場合 → 別途オプション費用が必要
- 短期間での記帳処理を希望する場合 → 繁忙期には特急料金がかかることも
基本プランでどこまで対応してもらえるのかを事前に確認し、無駄なコストを抑えることが重要です。
契約前に確認すべきポイント
記帳代行の契約をする際は、以下の点をしっかり確認しましょう。
- 業務範囲の明確化 → 仕訳入力だけか、請求書処理まで対応可能か
- 会計ソフトの対応可否 → 自社の会計ソフト(freee・マネーフォワード・弥生会計など)に対応しているか
- 契約の柔軟性 → 途中解約が可能か、月単位・年単位で契約できるか
- データの受け渡し方法 → 紙ベースかクラウド対応か
- サポート体制 → 問い合わせ対応のスピードや、修正対応の可否
契約前にこれらのポイントを確認することで、トラブルを防ぎ、スムーズに記帳代行を活用できます。
記帳代行の料金によくある質問
記帳代行の料金相場はどのくらいですか?
記帳代行の相場は、**仕訳件数や業務範囲によって異なります。**一般的な月額料金の目安は以下の通りです。
- 50件以下:5,000円~15,000円
- 100件前後:10,000円~25,000円
- 300件以上:30,000円~50,000円
また、年次契約の場合は割引が適用されることもあり、100,000円~500,000円程度の範囲で依頼できます。
記帳代行の料金はどのように決まるのですか?
記帳代行の料金は、以下の要素によって決まります。
- 仕訳件数(取引量が増えると費用も高くなる)
- 依頼範囲(記帳のみ・領収書整理・請求書管理など)
- 会計ソフト対応(クラウド対応か、紙ベースか)
- 依頼頻度(月次契約・年次契約で料金が異なる)
特に仕訳件数が料金に大きく影響するため、依頼前に自社の取引量を把握することが重要です。
記帳代行と税理士事務所の料金はどちらが安いですか?
記帳代行業者のほうが一般的に低コストです。税理士事務所では、記帳代行に加えて税務相談や申告サポートが含まれることが多く、月額20,000円~50,000円と高めの設定になっています。
コストを抑えたい場合は、記帳代行業者を利用し、税務申告のみ税理士に依頼する方法が適しています。
仕訳件数が少ない場合、記帳代行を依頼するメリットはありますか?
仕訳件数が少ない場合でも、帳簿の正確性向上や業務負担軽減のメリットがあります。また、年次契約でまとめて依頼することで、コストを抑えることも可能です。
- 仕訳数が少ない場合の料金目安(年次契約)
- 50件以下 → 50,000円~100,000円
- 100件前後 → 100,000円~200,000円
特に個人事業主や小規模法人では、決算時の作業をスムーズにするために、年次契約で依頼するケースが多くなっています。
追加料金が発生するケースはありますか?
基本料金以外に、以下のようなケースで追加料金が発生することがあります。
- 仕訳件数の上限を超えた場合(1件ごとに追加料金)
- 領収書・請求書の整理を依頼する場合
- 決算や税理士との連携を依頼する場合
- 短期間での記帳処理(特急対応)の場合
契約前に追加費用の発生条件を確認し、不必要なコストを防ぐことが大切です。
クラウド会計ソフトを利用している場合、記帳代行は必要ですか?
クラウド会計ソフトを導入している場合でも、仕訳入力や帳簿管理が発生するため、記帳代行を利用することで業務負担を軽減できます。
特に、以下のような企業に記帳代行は有効です。
- 仕訳入力を正確に行う時間が取れない企業
- 税務申告に向けて帳簿を整理したい企業
- クラウド会計の運用に不安がある企業
記帳代行業者の多くはfreee・マネーフォワード・弥生会計などのクラウド会計ソフトに対応しているため、データ連携を活用するとより効率的に業務を進められます。
まとめ
記帳代行の費用は、仕訳件数・業務範囲・依頼頻度によって大きく異なります。一般的な相場は月額5,000円~50,000円程度ですが、企業規模や契約形態(年次契約など)によっても変動するため、事前に料金体系をしっかり確認することが重要です。
費用を抑えるには、自社の取引量を把握し、必要な業務だけを依頼することがポイントです。また、追加料金が発生するケースや契約条件を事前にチェックし、無駄なコストを避けることも大切です。
適切な記帳代行サービスを選ぶことで、経理の負担を減らし、業務効率を向上させることができます。
