- 締め切りが迫るたびにバタバタして、仕訳の確認や試算表の作成が後手に回る
- 担当者ごとに作業工程がバラバラで、経費精算や請求書の提出タイミングが揃わない
- 月次報告の締め日が遅く、経営判断に間に合わない
この記事では、月次決算のスケジュール管理について、締め日の設定・作業工程の整理・チェックリストの活用・効率化のポイントまで順を追って解説します。毎月の決算作業をスムーズに進めるヒントとして、ぜひ参考にしてください。
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月次決算のスケジュールとは?標準的な流れを把握する
月次決算とは、1か月単位で会社の財務状況を確認するために行う決算作業です。損益計算書や貸借対照表などの財務諸表を毎月作成し、経営陣が迅速な判断を下せるようにするのが主な目的です。
年次決算と異なり、月次決算に法的な提出義務はありません。しかしだからこそ、スケジュールの設計と守り方が企業ごとに大きく差が出る領域でもあります。
月次決算の一般的なスケジュール感
月次決算は、当月末に締め作業を行い、翌月10営業日以内に月次報告を完了させるのが一般的です。上場企業や経営管理が高度な企業では、翌月5営業日以内の「早期化」を目標にするケースも増えています。
| タイミング | 主な作業内容 |
|---|---|
| 当月末(締め日) | 売上・仕入の締め、請求書の発行・受領 |
| 翌月1〜3営業日 | 経費精算の提出、銀行残高照合 |
| 翌月3〜5営業日 | 仕訳入力、売掛金・買掛金の確認 |
| 翌月5〜8営業日 | 棚卸・減価償却の計上、試算表の作成 |
| 翌月8〜10営業日 | 財務諸表の確認・修正、月次報告の提出 |
締め日の設定が全体のスケジュールを左右する
月次決算における「締め日」とは、その月の取引を集計する基準となる日付です。多くの企業では月末を締め日に設定していますが、20日締めや25日締めを採用している企業もあります。
締め日が遅いほど翌月の決算作業に使える時間が短くなります。また、取引先の請求書の締め日と自社の締め日がずれていると計上漏れが発生しやすいため、取引先との締め日の整合性も確認しておくことが大切です。
月次決算の作業工程を8ステップで整理する
月次決算の作業工程は、「集計・入力」「確認・照合」「作成・報告」の3フェーズに分けて考えると整理しやすくなります。
集計・入力フェーズ(ステップ1〜3)
最初のフェーズでは、月中に発生した取引を漏れなく集計し、会計ソフトへ入力します。
経費精算の締め切りを社内に周知し、担当者から領収書や経費申請を回収するところから始まります。請求書の受領状況も確認し、未着のものがあれば取引先に問い合わせます。このタイミングの遅れが後工程全体の遅延につながりやすいため、締め切りの徹底が重要です。
次に、売掛金と買掛金の残高を取引先ごとに照合します。請求書の発行・受領状況と帳簿上の残高が一致しているかを確認し、ずれがあれば原因を特定します。そのうえで、回収した証憑をもとに勘定科目を確認しながら仕訳を会計ソフトへ入力します。入力ミスや勘定科目の誤りは試算表の精度に直結するため、入力後の確認も欠かせません。
確認・照合フェーズ(ステップ4〜6)
このフェーズが月次決算の精度を決める核心部分です。数字の整合性を丁寧に確認していきます。
まず、銀行の通帳・明細と帳簿上の預金残高を照合します。振込・引落の漏れや二重計上がないかを確認し、差異があれば原因を特定して修正します。製造業や小売業では、月末時点の在庫(棚卸)を確認し、帳簿上の数量・金額と実際の在庫が一致しているかも確認が必要です。差異がある場合は棚卸差異として処理します。
さらに、固定資産の減価償却費を月次で按分計上します。前払費用・未払費用・前受収益・未収収益などの経過勘定も月次で適切に計上することで、財務諸表の正確性が保たれます。
作成・報告フェーズ(ステップ7〜8)
仕訳の入力と照合が完了したら、会計ソフトから試算表を出力し、損益計算書・貸借対照表などの財務諸表を作成します。前月比・前年同月比での比較分析もこのタイミングで行います。
作成した財務諸表をもとに月次報告書をまとめ、経営陣に提出します。数字の羅列だけでなく、売上高の増減要因や経費の動向など、経営判断に役立つ分析コメントを添えることが報告書の価値を高めるポイントです。
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月次決算が遅れる原因と対策
月次決算のスケジュールが毎月ギリギリになる企業には、共通した原因があります。原因を正確に把握することが改善の第一歩です。
遅れを引き起こす3つの主な原因
社内担当者からの経費精算や取引先からの請求書の到着が遅れると、仕訳入力が後ろ倒しになります。特に月末が休日と重なる月は遅延が起きやすく、スケジュール全体に影響します。経費精算の締め切りを月末より数日前に設定し、社内に周知徹底することが有効です。請求書については、電子請求書の導入や取引先との事前調整も検討に値します。
次に多いのが、業務の属人化です。特定の担当者しか対応できない作業が多いと、その人が多忙・不在なだけでスケジュール全体が止まります。業務フローが文書化されておらず「あの人に聞かないとわからない」という状態は、月次決算の遅延リスクを高めます。
また、会計ソフトの活用が不十分なケースも見られます。手作業での仕訳入力やExcelでの集計作業が多いと、入力ミスの確認・修正に時間がかかります。自動仕訳機能や銀行データの自動取込機能を使いこなせていない場合、作業工程全体に余分な時間がかかってしまいます。
遅延対策の具体的なポイント
スケジュールの「見える化」と「ルールの統一」が効果的です。
- 月次決算のスケジュール表を作成し、担当者全員で共有する
- 各作業の締め切り日を明示し、チェックリストで進捗を管理する
- 経費精算や請求書の提出ルールを社内規定として明文化する
- 会計ソフトの自動化機能を積極的に活用し、手作業を減らす
月次決算を早期化・効率化するための実践ポイント
月次決算の早期化とは、報告完了までのリードタイムを短縮することです。翌月10営業日以内が一般的な目標とされる中、5営業日以内を目指す企業も増えています。早期化を実現するには、仕組みそのものを見直す必要があります。
チェックリストで作業の抜け漏れを防ぐ
月次決算のスケジュール管理において、チェックリストは非常に有効なツールです。「何を・誰が・いつまでに」を明記したチェックリストを用意しておくことで、担当者が変わっても同じ品質で決算作業を進められます。
チェックリストに含めるべき主な項目は以下のとおりです。
- 経費精算の回収完了確認
- 請求書(売上・仕入)の計上確認
- 銀行残高照合の完了
- 売掛金・買掛金の残高確認
- 棚卸資産の確認
- 減価償却・経過勘定の計上
- 試算表の出力・確認
- 財務諸表(損益計算書・貸借対照表)の作成
- 月次報告書の提出
会計ソフトの自動化機能を最大限に活用する
クラウド型の会計ソフトでは、銀行口座やクレジットカードの明細を自動取込し、AIが勘定科目を自動判定する機能が標準化されています。これを活用するだけで仕訳入力にかかる時間を大幅に削減できます。
また、請求書管理ツールと会計ソフトを連携させることで、請求書の受領から仕訳計上までの流れを自動化できます。自動化できる部分を積極的に仕組み化することが、月次決算の早期化への近道です。
業務フローの標準化と担当者間の連携強化
早期化を妨げる最大の要因のひとつが、業務フローの属人化です。担当者ごとに作業手順がバラバラだと、引き継ぎや確認に余計な時間がかかります。
業務フローを文書化し、誰でも同じ手順で作業できる状態を作ることが重要です。また、経理担当者だけでなく各部署の担当者も月次決算のスケジュールを把握しておくことで、経費精算や請求書の提出タイミングが改善されます。
まとめ
月次決算のスケジュール管理は、締め日の設定・作業工程の整理・チェックリストの活用・会計ソフトの自動化が組み合わさって成り立っています。
スケジュールを「見える化」し、担当者全員で共有することが遅延防止と早期化の第一歩です。
経費精算や請求書の提出ルールを明文化して業務フローを標準化すれば、属人化によるリスクも大幅に減らせます。会計ソフトの自動化機能を積極的に取り入れ、月次決算を経営判断に直結する仕組みとして育てることが、経理部門の真の価値向上につながります。
毎月の決算作業を「こなすもの」から「経営を支えるもの」へと変えていきましょう。
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