請求書発行に関わる業務に追われ、ミスや作業負担に悩んでいませんか?
本記事では、請求業務をアウトソーシングする「請求代行サービス」の仕組みや活用メリットをわかりやすく解説します。業務効率の改善やコスト削減、ミス防止にもつながる導入効果、サービス選定のポイントを網羅。請求書対応に悩む中小企業・経理担当者の方は、ぜひ参考にしてください。

請求代行サービスとは?請求書業務の範囲と仕組みを解説

請求代行サービスで代行できる業務範囲
請求代行サービスとは、企業が取引先へ請求書を発行し、代金の回収・管理までの一連の業務を外部に委託できる仕組みです。企業によって対応範囲は異なりますが、一般的には以下のような業務が含まれます。
- 請求書の作成・発行・郵送/メール送信
- 入金確認と消込作業
- 支払遅延の督促
- 与信管理(取引先の信用確認)
- 債権管理や回収代行
これらの業務は、本来は経理担当者が手作業で行うことも多く、業務量の多さや属人化によるリスクが指摘されてきました。請求代行サービスを活用すれば、こうした煩雑な業務から解放され、経理体制の見直しや業務の効率化にもつながります。
請求書作成から送付・入金管理までの流れ
請求代行サービスを導入すると、請求書発行から回収状況の把握までが一元化され、以下のような業務フローが実現します。
- 自社から取引情報(請求元データ)を提供
- 請求代行会社が請求書を作成
- 電子または紙で取引先へ送付
- 入金状況をモニタリング・管理
- 督促や回収業務も代行対応可能
請求業務の流れ(自社運用と請求代行サービスの比較)
業務内容 | 自社運用での対応 | 請求代行サービスでの対応 |
売上情報の入力 | 担当者が会計ソフト等へ手入力 | 自社データをCSV等で連携・一部自動取込可能 |
請求書の作成 | Excelや会計ソフトで作成 | システムによりテンプレート作成・誤入力防止 |
請求書の送付 | 紙を郵送またはPDFをメール送付 | 電子送付・郵送対応を一括代行 |
入金の確認 | 通帳・明細を見ながら手動チェック | 自動連携・消込ツールで一元管理 |
督促・催促 | 担当者が手作業でメール・電話対応 | 一定のルールに基づき代行業者が自動通知・催促対応 |
売掛金・債権管理 | 担当者が表計算や台帳で管理 | クラウドで一元管理・未収把握も明確 |
このように、単なる「請求書の発送代行」だけでなく、取引先とのやり取りを一貫して任せられる点が大きな特徴です。
会計ソフト・販売管理システムとの連携
多くの請求代行サービスは、クラウド会計ソフトや販売管理システムと連携可能です。たとえば、freee、マネーフォワード、弥生といった会計ソフトからデータを連携すれば、二重入力の手間が省け、請求書の作成ミスも防止できます。
対応ソフトが限定されている場合もあるため、サービス導入前に「既存システムとスムーズに連携できるかどうか」は、選定時の重要なチェックポイントになります。
会計ソフトの選び方については【失敗しない会計ソフトの選び方|導入前に知るべき比較ポイントとチェックリスト】の記事で詳しく解説しています。導入前にチェックすべきポイントや比較のコツなどもご紹介していますので、ぜひぜひ参考にしてください。
請求代行サービスを導入するメリット
請求ミス・漏れを防ぎ、信頼性を向上
請求書の記載ミスや送付漏れは、取引先との信用問題に直結します。請求代行サービスを導入することで、第三者のチェックが入ることでミスを防ぎ、期日通りに正確な請求書を発行できます。業務プロセスが標準化され、属人化のリスクも低減できます。
業務効率化により経理リソースを最適化
請求書の作成や郵送、入金確認などは反復的な作業であり、多くの時間と人手を要します。請求代行サービスに委託することで、経理担当者が戦略的な業務に集中でき、組織全体の生産性が向上します。
入金管理や督促対応までカバーできる
未入金の管理や督促は精神的にも手間がかかる作業です。請求代行サービスを利用すれば、入金確認や支払遅延への督促もプロが対応してくれるため、社内の心理的負担を大きく軽減できます。
本業に集中できる経営環境が整う
経理部門がルーティン業務に追われると、経営数値の分析や将来の資金計画に手が回らなくなります。請求代行サービスを導入することで、本来の役割に集中できる経営体制が構築され、経営判断のスピードも高まります。
請求代行サービス導入の流れと注意点

ヒアリング〜運用開始までの流れ
請求代行サービスの導入は、「依頼してすぐにスタートできる」ものではありません。スムーズな導入には、事前準備や運用設計が欠かせません。一般的な導入プロセスは以下の通りです。
- ヒアリング・要件定義
自社の請求業務の流れや課題を洗い出し、代行業者と業務範囲をすり合わせます。 - 業務フローの整理と情報提供
売上データや請求書テンプレートなど必要情報を共有。取引先リストの整備も行います。 - 業務設計・運用テスト
本番運用の前にテストフローで請求書の発行や送付、入金処理の確認を行います。 - 正式な運用開始
実務に則った形で業務を開始し、定期的な報告や改善提案が行われる体制へ移行します。
この流れを丁寧に踏むことで、トラブルの少ないスムーズな運用が実現します。
委託範囲の明確化と社内整備
導入前に特に重要なのが、「どこまで請求代行サービスに委託するか」の明確化です。以下のような論点を社内で整理しておくとよいでしょう。
- 請求書の発行だけでなく、入金管理・督促も依頼するか
- 債権管理や会計ソフト連携の要否
- 対応する請求先・件数・頻度・請求形態(定期請求・スポット等)
また、請求関連の社内情報(取引先マスター・勘定科目など)を整理しておくことで、業務委託時のトラブルや確認コストを最小限に抑えることができます。
セキュリティ・情報管理の確認ポイント
請求書には、取引金額や相手企業の情報など機密性の高いデータが多く含まれます。そのため、請求代行サービスの選定においては、セキュリティ対策も重要な判断材料となります。
確認すべき代表的なポイントは以下の通りです。
- ISO27001(ISMS)等の情報管理認証を取得しているか
- データ通信・保管の暗号化処理が行われているか
- 契約書における守秘義務や漏洩時の対応内容の明示
これらの対策が不十分な業者では、外部委託が逆にリスクとなる可能性もあるため、注意が必要です。

請求代行サービスを比較する際のポイント
請求代行サービスを導入する際は、単に「業務を外注できるかどうか」だけではなく、自社の業務フローやニーズに合った業者かどうかをしっかりと見極めることが重要です。ここでは比較時にチェックすべき代表的な4つのポイントを解説します。
対応業務範囲の柔軟性
請求代行サービスによって対応可能な範囲には違いがあります。単なる請求書の発行だけでなく、以下のような工程もカバーしているかを確認しましょう。
- 電子請求書・紙請求書の両対応
- 入金管理・消込作業
- 督促通知や再請求対応
- 与信調査や債権管理まで含むか
一部のサービスは“請求書の印刷と発送”だけで終わるケースもあるため、必要な業務が含まれているかは要注意です。
料金体系のわかりやすさ
料金体系もサービス選定において大きなポイントです。主に以下のような課金方式があります。
- 定額制:毎月〇件まで一定料金(件数が安定している企業向け)
- 従量課金制:1件あたり〇円でカウント(件数が変動する企業に最適)
- パックプラン:発行・入金管理・督促までセットで提供
請求件数や業務範囲に応じて、最適な料金モデルを選ぶことでコストの無駄を避けられます。
システム連携の可否と対応力
自社で利用している会計ソフトや販売管理システムとスムーズに連携できるかどうかも、サービス導入の成否を左右します。
たとえば、freeeやマネーフォワード、弥生、Salesforceなどとデータ連携できる請求代行サービスであれば、二重入力や手作業を最小限に抑えられます。API連携やCSV取込機能の有無なども事前に確認しておくと安心です。
実績とサポート体制の安心感
請求業務は正確さと信頼性が求められる分野です。そのため、導入実績や業種対応の幅、トラブル時の対応スピードなども重視すべきです。
チェックすべき点としては
- 同業種・同規模企業への導入事例があるか
- 導入前後のサポートが丁寧か(専任担当の有無)
- 月次報告やKPI報告などの可視化がされているか
単なる外注ではなく、伴走パートナーとしての信頼性を感じられるかどうかが、比較の最終判断軸になります。
まとめ
請求代行サービスは、請求書の発行業務にかかる手間やミスのリスクを削減し、経理体制の効率化を実現できる有効な選択肢です。特に、人手不足や属人化が課題となっている中小企業にとっては、月次業務の安定化と経営判断の迅速化につながる仕組みとして注目されています。
導入にあたっては、委託範囲やシステム連携、セキュリティ体制などを慎重に見極め、自社の業務フローにフィットしたパートナー選びが重要です。
株式会社HNバックオフィスコンサルタントでは、請求代行サービスの導入支援から実務運用まで、中小企業のバックオフィスを丸ごと支えるワンストップ支援を提供しています。単なる作業代行にとどまらず、「経営に活きる経理体制づくり」をご希望の方は、ぜひお気軽にご相談ください。
