経理で起きるミスや不正は、気づかないうちに企業の信頼を損ない、経営判断にも影響を及ぼすことがあります。
特に中小企業では、担当者の属人化やチェック体制の弱さから、次のような悩みが生じやすくなります。
- 支払や計上のミスが多く、原因が特定できない
- 承認ルールが不明確で、担当者によって処理がの仕方がバラバラ
- 不正を防ぐ仕組みがなく、経営者がリスクを把握できていない
この記事では、経理部門で内部統制が必要とされる理由から、実務で押さえるべき要素、そして強化のステップまでを体系的に整理します。
自社の経理体制を見直し、信頼性と業務品質を高めるためのヒントとしてご活用ください。
経理体制の整備や内部統制の構築にお悩みの企業さまは、まずは当社にご相談ください。
大阪の中小企業を中心に、経理業務の可視化から改善提案まで一貫してサポートしています。
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経理における内部統制とは?
内部統制の基本概念と目的
内部統制は、企業が業務を適切に遂行し、財務情報の信頼性を確保するために整備する仕組みです。
特に経理では、取引処理や証憑管理を通じて日々多くのデータが生み出されるため、この仕組みが整っているかどうかが企業活動の基盤となります。
内部統制の目的は次の三つに整理されます。
- 財務報告の信頼性を確保する
- 業務の有効性と効率性を向上させる
- 法令や社内規程への遵守を徹底する
これらは企業の継続的な信頼性を支える要素であり、経理部門が果たす役割の重要性を示しています。
経理が内部統制の中心となる理由
経理部門は、会社で発生する取引を記録して、証憑を管理し、資産の状況を把握する役割を担います。
これらの情報は経営者の意思決定や外部への報告に活用されるため、正確性が欠けると企業全体に影響が及びます。
また、支払や入金、経費精算など金銭を伴う業務が多く、不正や誤りが発生しやすい領域でもあります。
内部統制を適切に機能させることで、業務の透明性が高まり、不正防止や誤処理の抑制につながります。
法令や基準との関係
内部統制は社内ルールの枠を超え、法律や外部基準とも深く関係しています。
金融商品取引法では内部統制報告制度が設けられ、会社法では取締役に内部統制整備の責任が定められています。
中小企業に直接の提出義務はありませんが、金融機関からの信用獲得や取引先の信頼性評価では、内部統制が整っている企業ほど評価されやすくなります。
経理は会計処理の正確性を担保する部門として、この法令遵守の土台を支える重要な役割を持っています。
経理内部統制が必要とされる理由とリスク
経理で起こりやすいミスと不正の典型例
経理業務は日々の取引処理が多く、確認作業が属人化しやすいため、ミスや不正が発生しやすい状況が生まれます。
中小企業では特に担当者が限られ、チェック体制が不足しがちです。
ここでは、実務で頻出する典型的な問題を整理しています。
なお、以下の内容は会計実務や監査領域で一般的に認識されるリスク分類をもとに作成しています。
| 種類 | 主な原因 | 企業への影響 |
| 入力ミス | 多忙による確認不足、属人化した処理 | 財務数値の誤り、決算の遅延 |
| 架空経費の申請 | チェック体制の不備、承認ルール不明確 | 不正な資金流出、内部統制への不信感 |
| 二重支払 | 承認漏れ、請求書管理の不備 | 不必要な資金流出、取引先との信頼低下 |
| 現金・預金の不正流用 | 管理者と実務担当の兼任、権限分掌不足 | 資産の毀損、重大な不祥事につながる可能性 |
これらのリスクは、内部統制が適切に整備されているかどうかで発生率が大きく変わるため、経理部門における統制構築が欠かせません。
小規模企業で内部統制が弱くなる構造的要因
小規模企業では、担当者が少なく業務が集中しやすいため内部統制が機能しにくい傾向があります。
特に次のような状況では、不備が発生しても気づきにくくなります。
- 担当者が複数業務を兼務しており、相互チェックが成立していない
- 業務マニュアルが整備されておらず、作業手順が人によって異なっている
- 承認ルールの不明確さにより、判断基準が属人的になっている
これらの状態が積み重なると、誤処理や不正の監視が困難になり、内部統制が形骸化するリスクが高まります。
信頼性・信用力の低下につながる主な影響
内部統制が不十分な状態は、外部からの信用面にも影響を及ぼします。
特に次のような問題が生じやすくなります。
- 金融機関から「管理体制が不十分な企業」と評価され、融資判断に影響が出る
- 請求や支払のミスが増え、取引先との関係悪化につながる
- 経営に必要な情報の精度が下がり、意思決定が遅れる可能性が生じる
こうした影響は企業継続に関わるため、経理部門での内部統制強化は信頼性を高める重要な取り組みとなります。
経理業務のミスや不正を防ぐには、属人化を解消し、客観的に確認できる仕組みが不可欠です。
内部統制を自社内だけで整備することが難しい企業には、専門家の伴走支援が有効です。
大阪の中小企業を中心に支援している当社では、現状診断から仕組みづくりまで一貫してサポートし、経理体制の改善を実現します。
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経理内部統制の基本要素と実務で重視すべきポイント
統制環境(社内ルール・倫理・経営姿勢)
統制環境は、内部統制が機能するための「土台」となる要素です。
経営者が内部統制の重要性を明確に示し、社内で共有される価値観やルールを整備することで、統制が自然に機能する環境が生まれます。
特に経理部門では、倫理観や法令遵守意識が求められるため、組織としての姿勢が曖昧な状態では内部統制が形だけになりやすい点が課題です。
社内規程の整備や業務の透明性向上を通じて、従業員が正しい手順で業務を進められる環境づくりが欠かせません。
統制活動(承認・権限分掌・ダブルチェック)
統制活動は、業務を正しく遂行するための具体的な手段であり、経理内部統制の中核に位置づけられます。
特に以下のような活動が効果的です。
- 承認プロセスを明確にし、誰が何を確認するかを定義する
- 業務を一人で完結させず、入力と承認を分離して相互牽制を働かせる
- 支払や入金の際に証憑確認と残高確認を組み合わせて誤りを防止する
これらの仕組みは不正防止だけでなく、ミスの早期発見にもつながるため、経理品質を維持するうえで重要な役割を果たします。
情報と伝達(業務フローの整備と共有)
業務フローや手順書が整備されているかどうかは、内部統制の実効性に大きく影響します。経理業務は複雑で手順も多いため、作業の流れが文書として明確になっていなければ、担当者ごとに異なる処理が行われるリスクが高まります。
業務フローを可視化することで、処理の抜け漏れを防ぎやすくなり、新任担当者への教育もスムーズになります。
また、社内で統一された手順を共有することで、誰が担当しても同じ品質で業務が遂行される状態をつくることが可能です。
モニタリング(評価と改善サイクル)
内部統制は一度整備すれば終わりではなく、継続的に見直すことで効果が維持されます。
特に以下の点を定期的に確認することが求められます。
- 承認ルールが形骸化していないか
- 証憑の管理方法が運用と合っているか
- 担当者の業務負荷が変化し、統制に影響が出ていないか
こうしたモニタリングを通じて運用状況を把握し、改善を繰り返すことで、内部統制の有効性を維持できます。
業務環境や人員が変化しても統制が機能し続ける体制が重要です。
経理内部統制を強化する具体的ステップ
業務フローの可視化と標準化
経理内部統制を強化する第一歩は、現在の業務フローを明確に把握することです。
業務の流れが見えないままでは、どこにリスクが潜んでいるか判断できず、統制の見直しも困難になります。
業務ごとに「入力」「承認」「記録」「保管」などのプロセスを整理し、誰がどの役割を担うのかを明確にすることで、作業の属人化を防ぎやすくなります。
リスクと統制ポイントの整理
業務フローを可視化した後は、各プロセスに潜むリスクを整理し、そのリスクを抑制する統制ポイントを設定します。
特に経理では以下のような整理が効果的です。
- 請求書処理における誤計上や二重処理のリスク
- 経費精算での不正申請や証憑不足のリスク
- 現金管理における残高不一致や不正流用のリスク
これらを一覧化し、リスクの発生可能性と影響度を評価した上で対策を位置付けることで、実務レベルで機能する内部統制を設計できます。
承認ルールと権限設定の見直し
承認ルールや権限設定は内部統制の中核であり、最も改善効果が高い領域です。
特に中小企業では、誰が承認し、誰が実行するかが曖昧なまま運用されることが多く、不正や誤処理を防ぎにくい状況が生まれます。
以下は、よくある課題と改善後の姿を比較した表です。
| 項目 | 改善前 | 改善後 |
| 承認ルール | 担当者判断で承認者が変わる | 金額基準や取引内容に応じた承認者を明確化 |
| 権限設定 | 入力・承認・実行を同一人物が兼任 | 入力と承認を必ず分離し相互牽制を確保 |
| 証憑確認 | 証憑の確認方法が担当者によって異なる | チェック項目を標準化しミスを防止 |
| システム利用 | アクセス権限が広く設定されている | 必要最小限の権限に絞り不正リスクを低減 |
改善後の運用を定義することで、責任所在が明確になり、統制が実務ベースで機能しやすくなります。
クラウドシステム導入による統制強化
クラウド会計やワークフローシステムを活用することで、内部統制の多くが自動化され、運用負荷を軽減できます。
特に次のような効果が期待できます。
- 承認履歴が自動的に記録されるため、改ざんのリスクが低下する
- アクセス権限を細かく設定でき、役割に応じた統制が可能になる
- 申請から承認までの流れが可視化され、処理の進捗管理が容易になる
手作業のチェックに頼る体制では限界があるため、システム導入は統制強化と業務効率化の両面で有効です。
まとめ
経理における内部統制は、財務情報の正確性を守るだけでなく、企業の信頼性や経営判断の質を高める重要な基盤です。
ミスや不正が起こりやすい領域だからこそ、承認ルールや権限分掌の見直し、業務フローの可視化、クラウドシステムの活用など、実務に沿った仕組みづくりが求められます。
内部統制は一度整えれば終わりではなく、継続的な見直しによって強化されていきます。
自社に最適な統制を整えることが、経営の安定と企業価値向上につながります。
自社だけで内部統制の仕組みを整えることが難しい場合は、専門家の支援を活用することで効果的かつ短期間で体制を構築できます。
大阪の中小企業を中心に支援している当社では、経理体制の整備から実務改善まで一貫してサポートしています。
内部統制に課題を感じている企業さまは、まずはお気軽にご相談ください。
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