経理業務のなかでも、特に手間と時間がかかる「領収書整理」。煩雑な作業を正確に処理しなければならない一方で、業務負担に悩む方も多いのではないでしょうか。本記事では、領収書整理代行を活用することで得られる効率化のメリットや、実際に依頼できる業務内容、注意点などをわかりやすく解説します。経理ミスの防止と業務の最適化を目指す方は必見です。

領収書整理代行とは?経理業務における重要性と課題

領収書整理の基本と経理上の役割
領収書は、企業活動における「支出の証憑(しょうひょう)」として極めて重要な書類です。経費の正当性を証明し、仕訳や記帳、月次決算・確定申告に必要不可欠な資料となります。経理部門では、領収書の収集から仕分け、記帳処理、保管に至るまでの一連の業務を正確かつ迅速に処理することが求められます。
しかし、これらの業務は反復的で膨大な作業量を伴い、人的リソースを圧迫しがちです。特に月末月初や繁忙期には業務の偏りが発生しやすく、経理の生産性や品質に悪影響を与える要因ともなります。
企業が直面する領収書整理の3つの課題
企業の現場では、以下のような課題が頻出します。
- 領収書の整理が間に合わず、月次決算の遅延が発生する
- 手書き・写真データなどバラバラな形式による情報のばらつき
- 社内ルールの曖昧さから発生する記載ミスや入力ミス
これらの課題は業務の属人化や二重チェック体制の欠如とも関係しており、単に「手間がかかる」以上に、企業の信頼性や税務対応に直結するリスクを孕んでいます。
電子帳簿保存法との関係と対応状況
2022年1月より電子帳簿保存法が改正され、一定条件下では領収書の「電子保存」が義務付けられるようになりました。これにより、領収書の管理は「紙→デジタル」への移行が一層進んでおり、従来の紙管理に依存した業務体制では対応しきれないケースも増えています。
このような背景から、デジタルツールに対応した業務設計が求められ、社内対応では限界を感じる企業も少なくありません。
外注・代行という選択肢の拡大背景
こうした経緯から、領収書整理を外部に委託する「代行サービス」へのニーズが高まっています。最近では、税理士事務所だけでなく、経理代行業者やオンラインアシスタント企業が領収書業務に特化したプランを展開するケースも増加しています。
代行サービスは、単に手間を省くだけでなく、業務品質の平準化・リスク回避・属人性の解消といった経理体制全体の改善にもつながります。
領収書整理代行で依頼できる業務内容とは?
領収書整理代行サービスでは、単なる入力作業にとどまらず、多様な業務を専門スタッフが担います。ここでは、主に依頼できる6つの業務について詳しく解説します。
領収書の仕分け・日付順分類
領収書は日付や支払先、勘定科目に応じて適切に分類される必要があります。代行業者では、バラバラに集まった紙の領収書やPDFを整理し、日付順・用途別に正確に並び替えます。
この工程を委託することで、月次資料の精度が上がり、社内チェックの時間も短縮されます。業務の初動で発生しがちな混乱を防ぐためにも、整理工程の代行は非常に効果的です。
スキャン・電子データ化による効率化
紙の領収書をスキャナやアプリで読み取り、クラウド保存やPDF化する作業も代行可能です。電子帳簿保存法対応を視野に入れた業務設計がされているため、将来的な監査や税務調査にも安心です。
- スキャナ保存方式に対応している業者もあり
- PDFファイルへの自動リネーム処理も可能
- クラウドストレージへのアップロードまで一括対応

Excelやクラウドソフトへの入力代行
仕訳処理の前提として、領収書のデータを「数値」として入力する作業があります。代行サービスでは、以下のようなデータ項目を入力します。
- 支払日、金額、取引先
- 但し書き(用途)
- 勘定科目の分類
Excel形式で納品するだけでなく、マネーフォワードやfreeeなどのクラウド会計ソフトとの連携納品にも対応しているケースが多く、業務効率が飛躍的に高まります。
仕訳帳データ作成の支援
経費計上には、領収書をもとにした「仕訳データの作成」が必須です。代行業者では、定型的なルールに基づき、会計帳簿にそのまま転記できる形式で納品されることが一般的です。
これにより、会計事務所や税理士への引き継ぎがスムーズになり、月次決算や年次決算の精度とスピードが大きく向上します。
領収書発行や突合作業の代行
支出側だけでなく、発行側の処理をサポートするケースもあります。特に、取引先との領収書の照合やチェックリストの作成、インボイス制度対応の記載確認などにも対応しています。
「受領漏れ」「記載ミス」「重複発行」などを事前に検知し、社内処理のミスを削減します。
原本管理・ファイリング業務
電子化と並行して、原本書類の保管やファイリングも引き受ける代行サービスがあります。月ごと・用途ごとに分類し、箱詰めや棚保管まで対応するプランもあります。
この業務を委託することで、社内の物理的なスペースの圧迫を解消し、また、管理ルールの統一が可能になります。

導入することで得られる5つのメリット

領収書整理代行の導入は、単なる「作業の外注」にとどまらず、企業経営全体に好影響をもたらす施策です。ここでは、特に注目すべき5つのメリットをご紹介します。
経理担当者の負担軽減と時間創出
領収書整理にかかる作業は、毎月繰り返されるルーティン業務の代表格です。これらを外部に委託することで、経理担当者がコア業務に集中する時間を確保できます。
- 定型業務からの解放により、分析や資金繰り対応へ注力可能
- 勤怠超過や残業の削減にもつながる
とくに少人数体制の企業にとっては、「業務の分散と効率化」を同時に叶える手段となります。
業務ミスの削減と正確性の向上
人手による手入力は、どうしてもミスや漏れが発生しがちです。領収書の金額、日付、勘定科目などに誤りがあると、月次決算や税務申告にも悪影響を及ぼします。
代行業者ではダブルチェック体制が基本であり、業務精度の安定とミスの防止が期待できます。
業務属人化の解消と継続体制の構築
経理部門の現場では、「この作業は〇〇さんしかできない」といった問題が起きることもありますが、。業務を外部化することで、マニュアル化・標準化が進み、誰でも同じ成果が得られる体制に近づきます。
また、担当者の退職や休職時の業務継続性を確保でき、リスクマネジメントの面でも効果が高いです。
ペーパーレス推進と物理的スペースの確保
- スキャン・電子データ化により紙の保管が不要
- 書類棚や保管スペースの削減
- オフィス環境の改善と整理整頓の促進
サービスを選ぶ際に比較すべきポイント
領収書整理代行サービスは多数の事業者が存在するため、自社に最適なサービスを見極めるには、いくつかの比較ポイントを押さえておくことが重要です。ここでは、導入前にチェックしておきたいポイントを紹介します。
料金体系と対応範囲の明確さ
まず確認すべきは、料金体系が「従量課金制」なのか「月額定額制」なのかという点です。さらに、基本料金でどこまでの業務がカバーされているかも重要です。入力作業だけでなく、仕訳作成やファイリング、スキャン作業などが含まれているかを把握しないと、後からオプション費用でコストが増すリスクがあります。サービス内容と価格のバランスをしっかり確認しましょう。
対応スピードと納期の柔軟性
領収書処理は月末月初などの繁忙期に集中しがちです。そのため、依頼から納品までのリードタイムや、急ぎ対応への柔軟性は選定基準として非常に重要です。月次決算や資金繰り資料の作成に影響するため、対応スピードが遅ければ社内全体の業務に支障が出る可能性もあります。
セキュリティと情報保護体制
領収書には企業の取引内容や経費詳細などの機密情報が含まれるため、セキュリティ体制の確認は必須です。ISMS認証の取得状況、データの暗号化送信、守秘義務契約の有無などを確認しましょう。情報漏えいリスクを最小限に抑えるためにも、万全な管理体制を整えている業者を選ぶことが望ましいです。
会計ソフトとの連携力
マネーフォワードやfreeeなどのクラウド会計ソフトとスムーズに連携できるかも業務効率に大きく関わります。納品データの形式(CSV、Excelなど)や、承認・訂正フローとの統合可否もチェックポイントです。連携が弱いと、社内で二重作業が発生する原因になります。
相談体制とコミュニケーションの柔軟性
初回導入時には、業務フローの共有や業者側とのすり合わせが必要です。そのため、事前相談が可能か、専任担当がいるか、チャットやオンライン会議での相談体制があるかといった点も大切です。代行業務は長期的な関係になることが多いため、信頼できる体制を持つ業者と連携することが安心です。
このように、単に価格だけでなく、業務内容やサポート体制など多角的に比較することが、失敗しない代行サービス選びのコツです。
領収書整理は、企業の経理業務において「手間がかかるが重要な業務」の代表例です。代行サービスを活用することで、煩雑な整理・入力作業から解放されるだけでなく、経理精度の向上やコア業務への集中といった副次的な効果も得られます。
本記事で紹介したように、代行業務の範囲は仕分けやスキャン、入力、仕訳データの作成、電子保存対応まで多岐にわたります。自社の課題や体制に合ったサービスを選ぶことで、経理部門全体の生産性と透明性が高まるでしょう。
株式会社HNバックオフィスコンサルタントでは、単なる入力代行にとどまらず、月次決算や経営判断に直結する資料の整備まで一貫対応いたします。業務効率化をお考えの方は、ぜひお気軽にご相談ください。ご相談はこちらから
